1964年に「オー・プリティー・ウーマン」を大ヒットさせた「ロイ・オービソン」は魅惑のヴォイスを持ったシンガーでした。ビートルズも一目置き、1988年カムバック直後に惜しくも亡くなった彼の名曲を振り返ります。(文中敬称略)
「オー・プリティー・ウーマン」のオリジナルはロイ・オービソンの1964年大ヒット曲
当ブログの昨日の記事 ヴァン・ヘイレン「オー・プリティ・ウーマン」MVが非難を浴びた理由 で紹介したヴァン・ヘイレンのヒット曲「オー・プリティー・ウーマン」。
この曲のオリジナルは、アメリカのシンガー ロイ・ケルトン・オービソン / Roy Kelton Orbison( 1936年4月23日 – 1988年12月6日)の曲です。
1964年発表のその曲は全米と全英でNo.1の大ヒットを記録しました。
(1964年/全米1位・全英1位) “OH, PRETTY WOMAN” – Roy Orbison on American Bandstand 1
”The Big O” ロイ・オービソン(Roy Orbison)トレードマークはサングラス
サングラスがトレードマークのロイ・オービソン。
▼下の記事によると、オービソンは近眼のため普段はメガネを使用していた。
あるツアーに向かうとき、飛行機の中にメガネを忘れたため、手元にあった度付きのサングラスをかけてツアーを続けざるを得なくなった。
するとそのスタイルがクールで気に入り、自分のトレードマークとしたとのこと。
その他、ビートルズとの興味深いエピソードも書かれています。
▼ロイ・オービソンとデビュー直後のビートルズ。Nelson、Lefty Wilburyというのは覆面バンド”Traveling Wilburys”におけるジョージ・ハリスンとロイ・オービソンの変名。
#OTD 18MAY1963 @thebeatles begin their tour with @ROYORBISON at the Adelphi Cinema, Slough. Nelson & Lefty Wilbury. pic.twitter.com/FKlpHQ1coG
— Traveling Wilburys (@OfficialWilbury) 2016年5月18日
ロイ・オービソンの美しい「ザ・ヴォイス」の特徴
つい聴き惚れてしまうロイ・オービソンの歌。ザ・ヴォイス(ロイ・オービソン・ストーリー)では1960年に大ヒットした「Only the Lonely」について次のように表現しています。
「孤独」「ブルー」といった言葉、美しいメロディー、流麗なストリングス・オーケストラにロックするボレロリズムを絡めたバック、高く舞い上がるファルセットという構成は、「オペラ的」で、驚くべき声域を持つ美声をうまく活かしており、誰にもマネの出来ない素晴らしい出来映えでした。
ザ・ヴォイス(ロイ・オービソン・ストーリー) より引用
オンリー・ザ・ロンリー Only the Lonely
(1960年/全米2位・全英1位) Roy Orbison – Only the Lonely (Monument Concert 1965)
この人の1964年のヒット「オー!プリティ・ウーマン」は、そんなに困難な曲じゃないほうですが、バラードものの「クライング」「イン・ドリームス」なんかは、「声域3オクターブ半」という人間離れしたオービソン以外歌えません。
素晴らしい曲ばかりの偉大な作曲家、世界一のシンガーと世界中で認められながらも、誰も真似が出来なかったために、長年にわたり伝説の中に葬られてきた大歌手、ロイ・オービソン。
クライング Crying
(1961年/全米2位・全英25位) Roy Orbison – Crying (Live 1964)
▼”クライング”が誕生した背景には、事故で家族を失って悲しみに打ちひしがれた、ロイ・オービソンの悲劇がありました。
イン・ドリームス In Dreams
(1963年/全米7位・全英6位) Roy Orbison – In Dreams (Live)
1988年、覆面バンド「トラヴェリング・ウィルベリーズ」に参加しカムバック
1988年、スーパースター5人が実名を伏せて「変名+サングラス着用」で組んだ覆面バンド「Traveling Wilburys」にロイ・オービソンも参加します。
発表したアルバムは大ヒット。1970年代以降は目立った活動をしていなかったロイ・オービソンは音楽シーンの第一線にカムバックしました。
【参加メンバー】
- Nelson Wilbury / Spike Wilbury、ジョージ・ハリスン(元ビートルズ)
- Otis Wilbury / Clayton Wilbury、ジェフ・リン(エレクトリック・ライト・オーケストラ)
- Lucky Wilbury / Boo Wilbury、ボブ・ディラン
- Charlie T. Jnr / Muddy Wilbury、トム・ペティ
- Lefty Wilbury、ロイ・オービソン
1989年、遺作となったアルバム『ミステリー・ガール』と「You Got it」のヒット
ところが、「トラヴェリング・ウィルベリーズ」のヒットの矢先、1988年12月6日にオービソンは心筋梗塞により急逝しました。
そして翌年1989年にアルバム『Mystery Girl』とシングル「You Got it」が発売されると、久々のヒットを記録したのでした。
▼「You Got it」をプロデュースしたジェフ・リンが、自身を失っていたロイ・オービソンと出会って復活をサポートする経緯が書かれた感動的な記事があります。
(1989年/全米9位・全英3位) Roy Orbison – You Got It
2017年、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のアレンジを組み合わせたニューアルバム発売
ロイ・オービソンヴォーカル・テイクと「ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団」のオーケストラ・アレンジを組み合わせたアルバム。ゴージャスです!
– Oh, Pretty Woman (with the Royal Philharmonic Orchestra)