芥川賞作家「町田康」が「町田町蔵」として1980年前後に主宰していたパンク・ロックバンド”INU”。私は中学生のときに衝動的にデビューアルバムを買っていました。2018年に新バンドを結成して本格的に音楽活動が再開されており、私は何気に嬉しいのです。(文中敬称略)
パンク・ロックバンド”INU”『メシ喰うな!』中学時代に衝動買いした
私が買った唯一のパンク・ロックのレコードは、町田町蔵率いる「INU」のデビューアルバム『メシ喰うな!』。実はこの曲には苦いエピソードがあります。
メシ喰うな! : 衝動買いしたINUのデビューアルバム
1980年前後の私が中学生のとき、レコード(=CDの前の時代の音楽の記録媒体)を買うという行為は、なけなしのお小遣いゆえに、ごくたまに厳選したものに限られました。
しかし1枚だけ(雑誌の記事を読んで)半ば衝動的に買ってしまったパンク・ロックバンドのアルバムレコードがありました。
INU(イヌ)というバンドの『メシ喰うな!』という1981年のデビューアルバムです。INUーWikipedia メシ喰うな!ーWikipedia
「メシ喰うな!」を昼食中に校内放送で流して、教師に叱られた
アルバムのタイトルでもある代表曲は「メシ喰うな!」です。
これはもう、お昼の時間に生徒みんなに聴いてもらわねばなりません。
私は中学の放送委員の友人にレコードを渡して、昼食時間に校内放送で流してもらうことにしました。
午前の授業が終わってお昼の弁当を食べ始めた頃、教室のスピーカーから異様な音楽が流れ始めました。
「ドゥンドゥン、ドァンドァン・・・俺の存在をー! 頭から打ち消してくれ、オラ!(中略)メシ喰うーなー、メシ喰うーなー!」
みんな「何だ? 何だ?」とざわつき、私は事情を知っている悪友と顔を見合わせてニヤニヤしていました。
しかし曲は途中でプツリと切れてしまい、教師のアナウンスに変わりました。「3年A組の奥野! すぐ職員室に来なさい!」
放送委員の話によると、「メシ喰うな!」の曲を流し始めてすぐに、職員室から教師が放送室に駆け込んで来たそうです。
そして強制的に曲をストップさせ、ゲリラ放送の首謀者の私を呼び出したとのこと。私は先生からこっぴどく叱られました。
「何でBGMにパンク・ロックを流したらダメなのか?」今の自分だったらしぶとく食い下がるかもしれません。
しかし当時の中学校では下手に抵抗すれば往復ビンタが待っています。とりあえず謝罪しておきました。
バンドマンから芥川賞作家に転身した「町田康(町田町蔵)」
ロックバンド「INU」を主宰していたミュージシャンは「町田町蔵(まちだ まちぞう)」でした。
実は後に芥川賞作家となる「町田康(まちだ こう)」の昔の芸名です。 町田康ーWikipedia
作家へ転身「町田町蔵」→「町田康(まちだ こう)」
1995年、町田町蔵は芸名を「町田康(まちだ こう)」とします。ちなみに本名は「町田康(まちだ やすし)」です。1962年1月生まれ。
町田康は1996年には処女小説「くっすん大黒」で文壇デビューします。
『きれぎれ』で”芥川賞”を受賞(2000年)
そして2000年、5作目の小説「きれぎれ」で第123回芥川賞を受賞しました。インタビューでは「3回目のノミネートで」と語っています。
INUの『メシ喰うな』を買った頃には全く想像もしていなかった快挙にビックリ!!
しかし、芥川賞受賞の20年前、小説もまだ書いていない時代に、私が町田康(当時は町田町蔵)の歌詞に魅了されていたのは紛れもない事実です。
彼がつづる言葉の中には、やはり何か光るものがあったのでしょう。
YouTubeのインタビュー動画「のぞき見Life2.0 バンドマンから芥川賞作家へ」
のぞき見Life 2.0 バンドマンから芥川賞作家へ 町田康
音楽活動を本格的に再開した町田康
しばらく映画出演や小説執筆の活動が中心となっていた町田康は、2010年にソロアルバムを発表して本格的に音楽活動を再開しています。
2010年、ソロアルバム「犬とチャーハンのすきま」リリース
新バンド「汝、我が民に非ズ」2018年9月26日にアルバムリリース
町田康は新バンド「汝、我が民に非ズ」を結成。2018年9月26日にアルバム『つらい思いを抱きしめて』をリリースしました。
町田康以外のメンバーは次の2人です。
売り出しのこと。下のとこにみな載ってますわ。https://t.co/rR9MDC4jB1
— 町田康 (@machidakoujoho) 2018年9月26日
汝、我が民に非ズ『つらい思いを抱きしめて』全曲ダイジェスト試聴