毎年12月に入ると、ジョン・レノンの ”ハッピークリスマス(戦争は終わった)” の曲を街で耳にすることが多くなります。実は、ジョンがインスパイアされたと思われる、メロディーが酷似した、18世紀の競走馬の名前を取ったフォークソングが存在します。(文中敬称略)
ジョン・レノンのハッピークリスマス(戦争は終わった)
ジョン・レノンの ”ハッピークリスマス(戦争は終わった) / Happy Xmas (War Is Over)” は、1971年12月にアメリカと日本でリリースされました。
イギリスでの発売は1年後の1972年11月。「ジョン・レノン&ヨーコ・オノ」の作者表記に関してレコード会社と揉めたとのこと。
下の動画は戦争のちょっと生々しい場面が出てきますので苦手な方はご注意ください。
Happy Xmas (War Is Over) – John & Yoko, The Plastic Ono Band with The Harlem Community Choir
冒頭のジョンとヨーコのささやきをよく聴け!
曲の冒頭で耳を澄まして聴くと、ジョン・レノンとヨーコ・オノがささやいています。この内容を誤解している人が結構います(私も最初はそうでした)。
ヨーコ「ハッピークリスマス、ジョン」 ジョン「ハッピークリスマス、ヨーコ」
これは誤りです。「お互いに挨拶を交わしている」という先入観による思い込みです。正しくは、
ヨーコ「ハッピークリスマス、キョーコ」 ジョン「ハッピークリスマス、ジュリアン」
と言っています。
ジョン・レノンもヨーコ・オノも再婚同士。キョーコはヨーコ・オノの、ジュリアンはジョン・レノンの、それぞれ前の配偶者との間の子どもです。
もう一緒に暮らしていない子どもたちに呼びかけているわけです。
ハッピークリスマスのメロディーはフォークソング”ステューボール / Stewball”にそっくり
知る人ぞ知るエピソードですが、ジョン・レノンのハッピークリスマスのメロディーは ”ステューボール / Stewball” というフォークソングにかなりの部分が似ています。
▼1960年代前半の ”グリーンブライアー・ボーイズ / The Greenbriar Boys” による ”Stewball”
▼1963年の ”ピーター・ポール&マリー / Peter, Paul and Mary” による ”Stewball”
”Stewball”は18世紀に実在した競走馬のこと
ジョン・レノンの ”ハッピークリスマス” とメロディーが酷似している曲のタイトルである ”Stewball” というのは、1741年にアイルランドで生まれた競走馬の名前です。”Skewball” という表記もあります。Skewball-Wikipedia
”Stewball” の曲はアイルランドのフォークソングとして歌われ、歌詞にもいくつかバリエーションがありました。
19世紀にはアメリカへも伝えられ、20世紀に入るとカントリー・ワルツとして独自のメロディーに発展し、歌詞の競走馬も現地に合わせたものに変わって行ったのでした。