2018年4月から無期限の活動休止を発表したJ-POP歌手のクリス・ハート。話題となったプロモーションビデオ(PV)短編ドラマ『I LOVE YOU』には続編『Still loving you』があります。本編だけ観てモヤモヤを感じた方は必見!。合わせて、クリス・ハートのバイオグラフィーもご紹介します。(文中敬称略)
アイラブユー(I Love You) : YouTube人気の動画クリップ
2014年2月、クリス・ハートの「初のオリジナルシングル」として発表された曲が ”I Love you(アイラブユー)”。
曲のリリースと同時に、短編ドラマ仕立てのPV(=プロモーションビデオ)がYouTubeに公開されました。
するとそのPVクリップにアクセスが殺到。「再生回数800万回突破」と、大きな話題となりました。
本編はヒロインの行動に賛否両論あり
下の動画は、クリス・ハートのシングル曲『I LOVE YOU』のPV短編ドラマです。
ネタバレになる内容をここには書きません。ご覧になった方の中には、少しモヤモヤ感が残った人も多かったと思います。
そう。ドラマの中でヒロインがとった行動が賛否両論を呼んだのです。
2014年2月 クリス・ハート「アイラブユー」短編ドラマ(約20分)
I LOVE YOU【作詞:H.U.B.,坂詰美紗子/作曲:坂詰美紗子/編曲:福田貴史】
Still loving you : PV短編ドラマの続編
『I LOVE YOU』のPVドラマが話題を呼んでからおよそ2年後、2016年4月に続編PVが発表されました。
制作スタッフが、「ヒロインの行動への賛否両論」の大反響を受けて続編を作ろうと考えたのか、または当初から企画を温めていたのか、定かではありません。
見た印象としては、小道具をうまく使ってモヤモヤをスッキリさせた続編です。
本編の視聴でモヤモヤが残った方は、ぜひ続編もご覧になることをおすすめします。
2016年4月 クリス・ハート「Still loving you」短編ドラマ(約18分)
Still loving you【作詞:H.U.B./作曲:堂野晶敬】
バイオグラフィー : クリス・ハート(Chris Hart)
サンフランシスコ、ベイエリア生まれ、1984年8月25日生まれ。
幼少の頃から日本語とJ-POPに慣れ親しむ
ジャズ・ベーシストの父親とクラシック・ピアニストである母親の元、幼い頃からクラシック音楽のトレーニングを受け、オーボエやクラリネット、サックス、フルートを学ぶ。
(旧)クリス・ハート公式ウェブサイト より引用
クリス・ハートの公式ウェブサイト(トップヘージは閉鎖)のバイオグラフィーには上記の記述があります。
しかし2013年12月15日にテレビ放送された『ホムカミ〜ニッポン大好き外国人 世界の村に里帰り〜』では、本人とナレーションが次のように説明しています。
- 祖父も父親も警察官。父親は警察を退官後に探偵会社を経営している
- 母親はサルサ歌手を目指していたが出産後に断念。今はIT企業の副社長
クリス・ハートは、12歳のときに中学校で日本語科目を受講して日本語に触れます。やがて次第に日本の文化にも興味を覚えるようになりました。
未来へ(kiroro) : クリス・ハートの人生を変えた曲
そしてある日、ケーブルTVから流れてきた kiroroの名曲「未来へ」がクリス・ハートの人生を変えます。
『未来へ』に魅了されたクリス・ハートは、「この曲の歌詞の意味を知りたい!」という一心から日本語の勉強を本格的に始めたということです。
kiroro 『未来へ』:クリス・ハートがJ-POPへのめり込むきっかけとなった曲
日本のニューミュージックから受けた影響
クリス・ハートーWikipedia によると、kiroroの他に影響を受けた日本のミュージシャンとして3人の名前が挙がっています。
- 小田和正
- 徳永英明
- ZARD
アーティストの顔ぶれをみると、歌うま番組等でクリス・ハートが披露した曲のレパートリーに納得できます。
13歳で日本に初滞在→アメリカへ帰国すると「日本に帰りたいとホームシックに」
どんどん日本への思いを膨らませたクリス・ハートは、13歳の夏休みに来日を実現。茨城県新治村(現在土浦市)でおよそ2週間のホームステイを経験します。
アメリカへ帰国したクリス・ハートは、テレビCMから流れる日本の曲(オフコースの「言葉にできない」)を耳にした瞬間に「日本に帰りたい」と涙をこぼしたとのこと。
2週間あまりの日本滞在だったが、日本で過ごした際に触れた日本人の親切心やさしさが忘れられず、アメリカ帰国後に日本へのホームシックにかかり〈日本に帰りたい〉という感情がわき起こった。
そのときたまたまTVのCMから流れて来たオフコースの「言葉にできない」のフレーズに(「ラララ」と最後の「言葉にできない」のたった30秒で)自然と涙がこぼれてその感情はますます高まる。
(旧)クリス・ハート公式ウェブサイト より引用
「言葉にできない」のオリジナルはこちら
クリス・ハート – 「言葉にできない」
小田和正のカバー曲ではこちらもおすすめ
クリス・ハート – ラブ・ストーリーは突然に
バンド活動~「日本語を使えるかも」の職業を転々~日本へ移住
クリス・ハートは、学生時代にもJ-POPを聴き続けるとともに、日本人とビジュアル系のロックバンドを組んでヴォーカルを担当。X JAPANやLUNA SEAの曲を日本語で歌っていたとのこと。
クリス・ハートが日本語と音楽を専攻した大学を卒用した後に就いた職業が3つ挙げられています。
- 国際線の空港で飛行機のメンテナンス
- 日本系化粧品会社のコールセンター
- 警察官
これらの職業を選んだ理由は全て「日本語を使う機会があるかもしれない」でした。
職を転々としながら日本に憧れて日本で歌いたいという想いを捨て切れなかったクリス・ハートは、24歳でついに日本への移住を決意します。
日本に移住し音楽活動~「のどじまん ザ!ワールド」チャンプ
2009年、日本に移住したクリス・ハートは、自動販売機のセールスマンで稼ぐととともに、J-POPのカバーやオリジナル曲の動画をYouTubeへ投稿していました。
まだYouTubeに残っている『FLAVA』というユニット名でのYouTube投稿(2010年)
クリス・ハート公式ウェブサイト によれば、YouTubeにアップしていた動画が日本テレビのスタッフの目にとまって、ゴールデン番組「のどじまん ザ!ワールド」に出演が決定したとのこと。2012年3月のことでした。
しかし、UR都市機構の情報誌のインタビューでクリス・ハートは、出演のきっかけについて「たまたま街で声をかけられた」と語っています。
もしかすると、テレビ局側の都合で「YouTube投稿で発掘された」というエピソードに脚色された可能性はあります。
妻と出会ってから、すべてが変わってきました。彼女が東京に引っ越してくる前、銀座でデートをしていたら、たまたまテレビ局のスタッフから「二人の出会いを知りたい」と声をかけられたんです。
そして番組で歌を歌ったら、そこからまた次の番組出演へとつながって、2012年3月にテレビの「のどじまんザ!ワールド」で優勝したんです。それがデビューのきっかけになりました。
いずれにせよ、「のどじまん ザ!ワールド」の出演が強烈なインパクトとなったのは疑いありません。
そのハートフルな歌声と抜きん出た歌唱力が、居合わせた観客と審査員の方々に心に響き、”天才ソールシンガー、奇跡の歌声”という賞賛の中、見事番組にて”優勝”を飾った。
テレビを通じて、まるで生粋の日本人の様に慎ましやかで愛らしいキャラクターと、包み込まれるような温かな彼の歌声に心底惚れ込んだヒット・プロデューサー、ジェフ・ミヤハラが放送翌日に即刻本人にコンタクトをとり自らプロデュースに名乗りをあげることになる。
(旧)クリス・ハート公式ウェブサイト より引用
2013年デビューの年に紅白歌合戦に初出場
2013年6月5日、デビューアルバム『Heart Song』がリリースされ、オリコン週間ランキングで3位を記録。
デビュー半年後の2013年の紅白歌合戦には松田聖子とのデュエット曲「夢がさめて」で初出場を果たします。
クリス・ハートが語る日本語の奥深さとは
クリス・ハートは日本人以上に”日本語を噛み締めながら歌っている”様子がインタビュー記事から見て取れます。
例えば「桜」という言葉、このたった一つの単語の中には「出会い、旅立ち、別れ、春など」色々な意味が込められている・・・この奥深さに感銘を受けたとのこと。
「のどじまん ザ!ワールド」への2回目の出演をする前のエピソードとして、デビュー曲にもなった『home』の歌詞について次のように語っています。
2回目の出演の前、何を歌おうかと悩んでいたら、妻が「あなたには木山裕策さんの『home』が合ってるよ」とアドバイスしてくれたんです。ちょうど結婚式をする前だったので、家族を思う気持ちが、とてもぴったりきました。
でも、詩のなかの茜色という言葉の意味がよくわからない。英語には同じようなフレーズがないし、ずっと考えていたんですが、仕事から帰ってくる途中、商店街を歩いているときに、やっと気づいたんです。
茜色って、色のことだけじゃなくて、家族のために一日頑張った気持ちなどのメッセージが込められているって。その気持ちを込めて歌ったらとても反応がよくて、結局、その曲がデビュー曲になりました。
ユーアールプレス(UR都市機構)2016年 vol.46 より引用
インタビュー記事に出てくる奥さんは日本人で、元シンガーソングライターの福永瞳さん。クリス・ハート自身も2017年4月に日本国籍を取得しています。
クリス・ハート – home (Lip Ver.)
クリス・ハート活動休止の理由は?
2017年12月5日、クリス・ハートは、2018年春から活動休止することを公式サイトで発表しました。
「しばらくの間ゆっくりと育児や、音楽の専門的な知識を高める時間に費やしていきたい」との理由です。
「将来は日本人アーティストの海外進出をサポートする活動も希望している」と報じる新聞もあります。
将来的に、海外での活躍を目指す日本人アーティストをサポートする活動を行いたいという希望があるといい、休止中にそのための勉強に励む。
「グラミー賞を取る日本人アーティストをサポートしたい」と意気込み、「(言葉の面など)いろいろ難しいけど僕もいろんな人のおかげで日本で活動できた。感謝の気持ちを込めて、気持ちを返したい」と語った。
日刊スポーツ 2017/12/6 より引用
クリス・ハートのラストコンサートは2018/4/13
ラストコンサートは、2018年4月13日(金)NHKホールにて行われました。