バブル絶頂期の1989年、イタリアのハウス・ミュージック・グループ ”ブラック・ボックス / Black Box” がヒットさせたデビュー曲 ”ライド・オン・タイム / Ride On Time” は、”ロリータ・ハラウェイ / Loleatta Holloway” のサンプリング音声を無断で使用して訴訟沙汰となったいわくつきの曲となりました。(文中敬称略)
訴訟
アメリカの歌手 ”ロリータ・ハラウェイ / Loleatta Holloway” は、1980年前後にディスコ・ダンス・ミュージックの分野でヒット曲を生み出して、その歌声はしばしばサンプリングされてダンス音楽で利用されていました。
1989年に”ブラック・ボックス / Black Box” が発表したデビューシングル ”ライド・オン・タイム / Ride On Time” でも、ロリータ・ハロウェイの曲 ”ラブ・センセーション / Love Sensation” からサンプリングされた音源が使用されました。しかしこれは無断利用したものでした。
さらには、”Ride On Time” のPV(プロモーション・ビデオ)では、ダンサーの ”Katrin Quinol” がリップシンク(Lip-sync=口パク)で実際に歌っているかのように演出され、かつ サンプリング元のロリータ・ハロウェイの名前はクレジットされなかったのです。
このため、ロリータ・ハロウェイ側が訴訟を起こして勝利しました。
サンプリング元の原曲の歌詞を聞き間違えている ”Ride On Time”
ブラック・ボックスの”Ride On Time” のサンプリング元となった ”Love Sensation”。よく聴いてみると(下の動画2:10〜)、 ”Cause You’re Right on Time” と歌っています。
lylics.com より引用
・・・ブラック・ボックスの曲は、本来の歌詞の ”Right” を ”Ride” と勘違いして ”Ride On Time” というタイトルになっているのです!
または意図的に歌詞を変えてタイトルにしたのかもしれません。
”ロリータ・ハロウェイ / Loleatta Holloway” ディスコの女王からハウスの女王へ
ディスコ・ナンバーのヒット曲で「(ディスコ)ダンスフロアの女王」と呼ばれていた ”ロリータ・ハロウェイ” は、ハウス・ミュージック・グループである ”ブラック・ボックス”の ”ライド・オン・タイム” の大ヒットにより、図らずも「ハウスの女王」の肩書きも手に入れたのでした。
ロリータ・ハロウェイのインタビュー記事
下のインタビュー記事では、彼女の歌声が(音楽や映画等に)盛んにサンプリングされながらも、報酬を得られなかった当時の状況を語っています。
替え玉ボーカル ”Katrin Quinol” のインタビュー記事
ブラック・ボックスでリップシンクしている女性ダンサーは、フランス人の ”Katrin Quinol” です。下に張ったリンクのインタビュー記事では、Black Box に参加した経緯が語られています。
当時は昼間はモデル、夜はナイトクラブでGOGOダンサーの仕事をしていた際に、スカウトされて Black Box に参加することになったとのこと。